2015年11月30日

11月第最終週 ダングリング週報

さて、先日、造形王パウリーゲットしましたぜ。

そりゃまあ俺も関係者のハシクレですから、どういう出来になるかっつーのは概ね聞いてました。
もうちょっとここはこうならんのですか?いやそこをなんとか的な会話も当然ありました。

大量生産なので、多少の劣化は覚悟の上でしたが、なかなかに今回は厳しい。
譲って譲って、妥協案を飲みに飲んだのに、現実とは厳しいもんでございます。

だが、聞け、夢に燃える若者達よ。燃えてないヤツは聞かなくてよろしい。

命を張った努力が全て形になって報われると思ってはいけない。
世の中とは得てしてこういうもの。だから運不運なんつー考え方も出てくるわけです。
善意や向上心が実を結ぶとは限らない。それが現実であり普通の事。

そういうのひっくるめてが「結果」です。

本来はそれらを見越して、発生するエラーや不備を予測した上での造型がベスト。
同じ時期の中澤さんの悟空なんか、造型のみならずそういう点の考慮も含めて完璧。

その点でのパウリーは最初っから崖っぷち勝負を挑んでいたので、文句を言う筋合いはございません。

俺はほら、サンハウス大好きですから
一本きりの綱渡り、ここは地の果て地獄の手前、危険承知の荒療治、命いらぬヤツはついてきな。
というノリでチャレンジを・・・・

するわけねーだろ!

危険を冒すのと同じくらい、危機予測と回避準備が大好きな理詰めの知性派なんだぞ俺は。

だから十分、確認と布石は打っておいたはずだったんですが面白いくらい崩れ去る理想。


これが

こうなって

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こう

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腰が抜けるほど驚いたが、まだ調整が効かないわけではないかもしれない。


俺もリペイントの技術はねーから、簡単に直せないけど

たぶん少しゴーグル下げて、

出来れば歯も引っ張りだして

あと眉はガっと下げて描き直して、目は逆にもう少し・・・






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ま、正直、パッケの写真を見せられた時は、2日間ほど力が出ませんでした。

脱力としか言いようがない。これが名前の出ない仕事なら、まあしょうがないすよねで
済ませられるけど、名前出ちゃうと話がほら、変わってくるじゃないすか。
そう思ってスゲー力入れて作ってたわけだし。

だいたいディスプレイの台座が8mmになりますが、という連絡を受けた時

信じられない単語を耳にした俺は聞き返しましたさ。

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ミリとな?




即座にケタ間違えてんじゃねーすか?とは言ったさ。もちろん。


「またまたぁ、ウソでしょ?」
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あるわけねーんだから。8mmなんて。小指の爪だってもうちょいあるぜ。

でも、間違いなくハチミリだと言う。あのイッセンチ以下のハチミリ。
本当に台座の高さは、8mmだけど、どうします?なんて話を進めてくる。



「ウソじゃなかったのかよ」
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だから俺は言いましたさ。じゃあもう地面に置いていいっす・・・。

一応、製品の経年劣化を検証するチームのご意見だと、こうじゃないと
ダメなんだそうで。あれ?他平気で浮いてるのなかったでしたっけ?
ロープが厄介?それとは完全に別問題のような…はあそうですかとにかく無理、と。

しかしその尻餅フィギュア確定の段階で、俺は考えてましたぜ。

吊るすんだから全然関係ねーぜ、わはははってな。


そもそもだ。

ロープキャラが決定した時点で、俺はこれを意識してました。

現状最強の吊るしフィギュアの雄、


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オシシ仮面

その吊るしフィギュアの王座は職長がいただくという目論みの元、

こういう計算が為されていたのであります。


まず、ベルトにあるリングの中に穴を開けてテグスを通す。

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ポーチの紐に隠れるようにある穴がそれで、

そこから直線で手元のロープの曲がった頂点を結ぶわけですが

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それを見越して、ジャケットに少しだけ「跳ね」というか「めくれ」が
あるでしょ。ここが吊るし用の造型でした。
そのラインに従ってテグスを通すつもりだったわけです。


で、もっとも先にあるナイフと、先端の結び目の間を通せば

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形状を維持しつつ意図通りの重心でポージングする、吊るし職長フィギュアの出来上がりだっつーの。

回せるっつーの。楽しいっつーの。

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くるくるくるーっとくらー。



物事は良い面も探さなければいけない。

大量生産は劣化だけではない。


商品化における太陽の当たる面、サニーサイドとは何か。

そりゃ素材が置き換わったことによる、圧倒的な丈夫さ。強化。


量産することにより付加された、強力なプラスアルファ、
ポリビニールナンタラカンタラをナメんじゃねえ。

つーわけで、ロープの右手の持ち方を変えて


伸ばーす!


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伸びも伸びたり、この長さ。

なんと全長80センチのフィギュアの出来上がり。すげーな。

コップ1杯の熱湯でノビノビだぜ。がー、楽しい!

先日全長40センチのダブルチェーンソウをこしらえて、だいぶ
関係各所にご迷惑をおかけしたことが記憶に新しいすが、その前に
伸ばせば80センチのならんとするフィギュアをこしらえてたのであります。


さらにそれを

吊るーーす!

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おおー、これぞロープ!

ここまで大胆に原作に近づくポテンシャルを秘めた人形があったか。

そもそもが、伸びてこそのロープ。オモチャ最高。製品最高。

どうよ、いちおうここまで考えて作ってたんだぜコノヤロー。

W7の空中感を表現できてんじゃねーか。

タンポ印刷のズレ?ちいせえ事を気にすんな。吊るそうぜ、職長をよう。



集めて並べたいっつー普通のワンピースフィギュアファンには
妙なポーズで迷惑造型だったかもしれないというのも承知してます。
並べやすさを期待していたコレクター希望の方々には、意にそぐわず申し訳ないと思うし
事故の少ない確実な原型を期待していたバンプレストさんにも面目ないと思うけど
やっぱりサンダーロードスタイルで問われる限りは、フィギュアすなわち
玩具の可能性にも挑まないわけにはいかねーぜ。

パウリーを好きな人だったら、やっぱり逆さ吊りにしたいだろうし、
その期待に応えられないようじゃ、男がすたる。

まあ空回りで終わった感もなかないし、自己満足だと言われればそれまでですが
誰よりもパウリーを考えた末に、納得行く道を選ばせていただきました。

そんで商品を手にとっての、この感覚。
悪くないぜ。想像してた楽しさがあるぜ。

大量生産の荒波に揉まれコテンパンにやられたものの、それでもなお残る
オリジナリティとリスペクト。いやーくだらなくてカッコいい。理想だぜ。

作品としても商品としても、俺が考える造形王はこれにて完結。

まったくいい挑戦だった!
posted by サンダーロードスタイル at 00:04| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする