2015年11月16日

11月第3週 ゴネンゴシ週報

本日は海外マンガフェスタ。
朝4時まで仕事に追われ、タイトできつかったというのもあったんですが
それよりなにより、現場に着いたらブースの広さが

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タイトすぎる。後ろにあるツイタテまでがブース。
椅子も引けなきゃ荷物も広げられない。

しかも表記にあった180×100という机の幅を信じて展示物を用意したのに
行ってみたら、180×50。もう全然置けねえじゃねえか!
どんだけ苦労して計算してモノを揃えて梱包したと思ってんだ。

それでもどうにか臨機応変に体裁を整え、展示。

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で、背後までが狭ければ隣とも密着。
つまり、ブースに出入りするのは机の下をくぐって前に抜けるしかない。えー!?

その机もガタガタで人形は怖くて置けない。背中のパーテーションには椅子が乗っててガタガタ。
しかもそれは背面側の人のオプションパネルらしく、なんか貼られるたびに
ガッタガッタと、そこらじゅう昭和の線路脇の安普請アパートか。

つーわけで、俺の中では史上最低の展示会で、ついた早々やる気ゼロ。
マジでポッキリ心が折れる音がしました。
で、10分ごとに時間を確認するが、経たねーんだな、時間。

ただただ良い出会いがあれば、とだけ願ってましたが思いがけない出会いもあり。
俺の方から握手を求めるくらいの話で、その時だけはテンションアップ。
14時に撤収しちゃうぞと思ってたのを15時まで延ばそうと決意するほど。

そこで大会運営の責任者が来て、出展してどうですかなんつーんですが
どう、の段階でツバがピューと飛び俺のブースに!

バーツーが俺のスーブーに!!

と思ったけど、さきほどの出会いショックで上機嫌だったので、立体は場違いだったけど
ちょっと救われましたなんつって、笑顔で応対したものの、後で考えたら

このブースの酷さを猛抗議するのを忘れてた!コノヤロウ!机の下から出入りしてみろ!
責任者戻ってこーい!

っつー感じでした。

いやーつくづくWFって素晴らしい居場所だなと痛感。


というタワゴトはともかく

ここ一週間チマチマ書き溜めてた、ショウリンカウボーイ製作記。

またしてもバカみたいに長いので、ご興味のある方はどうぞ。


さて、
ショウリンカウボーイの製作は、ちょっと特殊なケースでした。
というのもメーカーからの依頼があっての製作ではなく、ほぼ日本で認知されてないアメコミを、
俺が大好きだっつー理由でネジ込んで商品化してもらったものです。

狂気の持ち込み企画がいかにして成立したのか、足掛け5年に渡る製作記です。
当時の日報とリンクしときますが、特にそっちを読まなくてもわかるように進めます。


まず地獄日報でのニューヨークコミコン、NYCCの記事がこちら。

2010年「新ヨーク漫画祭り」
ここで、初めてショウリンカウボーイの話が出てます。


そしてコミコンにて、会長がジェフダロウと接触。

「会長、成し遂げ過ぎる」

ジェフファンの俺に大量のサインをせしめてくるわけです。
しかも名前入り。そりゃ感動しますよ。

ジェフダロウのサイン本はもちろん持ってます。
コミックファンにとって、サイン入りのコミックはさほど珍しくない。
でも、今回は会長がわざわざ俺の名前出して、御歓談の後にサインもらってきた。
それはただのサイン本とは全然違う。頼もしい男に仕上がった会長が、頑張って話しかけ
貰ってきたという友情的な勇気と素晴らしさが追加されてるわけです。
いやもう感動しましたぜ。


で、感動した俺はジェフダロウになんかお礼を渡そうと、

ゴズミサイル開始

ゴズミサイル途中

ゴズミサイル完成

というのをこしらえて、1年後、再びNYCCに遊びに行く会長に
託したわけです。すげー迷惑と知りつつ結局会長を、オツコ(お使い小僧)扱いする男、俺。
いまさらながら、会長申し訳ない&ありがとうございます。

で、会長は見事、渡してきましたぜ。

2011年「ゴズミサイルお見舞い報告」

成し遂げる男会長は、今度はなんとジェフダロウのメルアドをゲットしてきました。
すげーなこの、男たらし。

かくして俺は、遥か彼方の雲の上と思ってたコミックアーティストと
メル友になれたわけです。オージェフセンセイみたいな感じで。
わかるかなー、この興奮。俺にとってのコミックシーンの中で
ジェフダロウ、マイクオーレッド、マイクミグノラという3巨頭は
すげーデカかったんですよ。ビッグガイ、マッドマン、ヘルボーイ。
バットマン、スパイダーマン、エックスメンでいっぱいだった頃に
ダークホースが放つ個性的なコミックの数々は、まさに輝いてたんすよね。
その憧れの作家と話が出来るなんて信じられない。

自分はあなたのアートが大好きで、いつか俺の手で立体化してみたい、と
本人に伝えたのもこの時です。

でも、

ここが面倒なとこなんですが、そうは言ってもファンではいたくないんす。
同じ作り手として、並びたい、認めてもらった上で話をしたい。

以前、吉祥寺に住んでた時、楳図かずおを見かけました。
つーか、吉祥寺に住んでるヤツならしょっちゅう見かける人なんですが
俺は大ファンなわけです。で、何度も見かけたけど、どうしても近づけなかった。
会ったら質問は決めてある。心の準備も出来ている。

そしてまた見かけたある日、まだためらう俺をツレアイが握手してもらってきなよ、と
背中を押したわけです。結果、少し話をさせてもらえて握手も出来た。

が、

なんだこの空しさは。この敗北感は。嬉しいし尊敬してるし、グッズも買ってるけど
違うんだよ、俺はKAZZとこんな風に会いたいわけじゃねえんだ。

握手してもらえば満足なんじゃねえ、人として認めてもらえないなら
会う意味は全然ねえんだよ、クソーこんな風に会いたくなかったと
心の中で知ってたのか、俺は。という感じですかね。フクザツな喜びでした。


で、時は過ぎ


2013年「貰ったポスターかざった日報」

なんで部屋片付けてポスターかざったかというと、造形王の取材が来たんすよね。
で、いい機会だからと作業場の掃除に踏み切ったわけです。

そして造形王の現場でユニオンクリエイティブさんと出会いまして。
錦えもんを評価していただけたようで、いろいろ雑談する中
ユニオンさんは海外も視野に入れてますよ、なんつーので俺アメコミ大好きですよ、と。

しかしユニオンさんの商品は美少女とか美少年みたいなのが多いので、俺の活躍の場はねえな
と思ってたんですが、男向けのメンズエッヂというシリーズもあるんですよ、と。

ぬな。

海外を視野に入れ、男向けときたら、ちょっと俺の話を聞いて欲しい。

昨今チマタはアメコミ映画ブームですが、アメコミはもっとすげー種類があって
ヒーローもんばっかじゃないんですよ。グラフィックノベルっつー少し大人向けの
ジャンルなんかスゲーかっこいいんですよ、なんつー話をしまして。

で、俺、ある作家と知り合いなんすよ。その作家スゲーんすよ、超カッコいいす。
ここで俺のジェフダロウ作品をマジで立体化できるかもしれない欲が芽生えたわけです。

間違いなく日本では売れない。けど本国では一定のファンはいるはず。
本国のファンに通用するようなもんが作れるか?アメリカと造型で喧嘩できるのか?

俺が知ってるジェフ作品造型と言えば、ケントメルトンのビッグガイ&ラスティ。

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ケントメルトンと言えば、ディズニーのマケットとかやってる世界で一番上手い1人。

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これは比べられる。相手はホセメンドーサだが、俺はせいぜいゴロマキ権藤。
いい恥かくのは決定だぜ、それでも出来るのか。

いや、出来るとも。コミックの中から飛び出てきたようなのを作る自信は、ある。
間違いない、今、俺は仕上がっている。錦えもん作って確信した。俺なら通用する。
ならば企画を通すしかない。イッツ、クロベリンタイム!

俺が造型して、色はデコマスラボの広瀬さんに塗ってもらい、生産時の劣化も
きちんと見越した上でハイクオリティを目指せる。
ウワッツラのアメコミブームとは一線を画しましょうぜ、などと説得しまして
こんなのどうすか、と久々に企画書作って説得にかかりました。

その表紙。

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そしたら、動いてくれたわけです、ビバ、ユニオンクリエイティブ。まさに英断。

そんでGOの確認をすべくジェフさんに連絡。そしたらOK。
あとはもうトントン拍子。

具体的なスケジュールが組まれ、まずはサンディエゴのコミコンで告知の為に
予告マケットでも展示しましょうか、と。それが2014年の夏。

なんと俺の展示案を、あのジェフダロウが描いてくれるという贅沢。

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サンディエゴでの予告展示の後、いよいよ実作業開始です。

目指すは2015年の2月のWF展示。

そう、バッファローマンを飛ばしてたのはそんな状況だったわけですね。すいません。


しかし問題はデザイン。
ゾンビをバッタバッタとなぎ倒しているとしても、そんなもんたくさんは
商品化できない。小さくすればいいかもしれないけど、あんまり小さいのはどうだ?
人形を大きくするならばゾンビの数は減らさなきゃいけない。
いや、そもそもダブルチェーンソウを現実的な長さに落とし込むとどれくらい?
そこから逆算もしなきゃいけない。

というわけで、まずは基本的な方向性をミクロマンで検討。

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それを絵に起こして、さらに検討。

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商品化できるラインを探ります。本体もあるんでゾンビは2体が限界と判明。

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この段階で、もうひとつ条件としてあったのが
メンズエッヂシリーズには台座が三角というルールがあるそうで。

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最終的にはその縛りはなかったんですが、こちらとしてもある程度
制限かけられた方が練れるので、三角ベース準拠でマケットを製作開始。

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今度は現実的な強度面などを考慮しながら進行
この段階ではまだチェーンソウの先をゾンビの下半身で
支えるつもりになってます。

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その時の打ち合わせの模様がこちら。「ユニオン広報ブログ」


で、マケットでサイズ感が決定したので、いよいよ作業開始。
なのに俺はメカがこれっぽっちも出来ません。

しかしそんなこともあろうかと、俺が知ってる最強のメカ原型師にお願い出来るよう
段取ってあります。スケジュールも確保。メカはこれで安心だ。ならば作るのみ。

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そしてどうにかWFに間に合い、展示。

2015年「WFでの展示報告日報」


その後、ゾンビへのタトゥなど彩色をどうするか打ち合わせ
デコマスラボの広瀬さんにバトンタッチ。
タトゥ柄はジェフさん書き下ろし。

そして出来上がった彩色原型は、望んだ通りの感じ。カンペキ。
信頼の広瀬仕事です。

これがこうなるんだから、素晴らしい。

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ところがこのへんからすっかり音沙汰が・・・

パッケージも値段も、発売も知らず状態。

そりゃあね、ユニオンさんにとっても売り上げの見込めない商品であり
いろいろご迷惑をおかけしているのは重々承知しております。
原型は作れば御役御免ですが、商品化ってのは苦労があるなんつーもんじゃない。
しかも今回は40センチのダブルチェーンソウがついてる。
絶対に、あのヤロウこんな面倒なもんこしらえやがって!と思っているに違いない。
ああ、そうに違いない。と思うとこっちから気軽に「今どうなってます?」なんて
死んでも言えない。言う俺を俺がコロス。

つーわけで俺はもう座して待つしかねーです。そして

サンディエゴのコミコンでは、ジェフダロウブースで展示ということでしたが
行った人はそんなもんはなかったといい(コラー!)、写真を見たらダンボールの上。

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完全に邪魔で迷惑かけてんじゃねーか。これを展示と言うにはちと残酷。
でも限られたスペース、コミコンで場所を取るのはえらく手間と金がかかる。
ジェフダロウの元に彩色原型が行っただけで十分です。ええ満足です。


それから半年。

海外マンガフェスタで展示して宣伝なら出来るんじゃないかと思い
連絡を入れてご協力を仰ぐことになり、やっと商品を確認させてもらったんですが

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いい!

いや、すげーいいんですけど。

再現度も高く、商品としてのクオリティはお見事!
いやこんなにちゃんと出来てるのに誰の目にも触れてないって、ある意味スゲーな。
どんだけ鬼子を産んじゃったんだ俺は。

とにかく久々に自分の作った物とご対面だったんすが、人形を出した時、
あ、ジェフダロウの世界だ、と俺が思ったんだから素晴らしい。
間違いなくこれはサンダーロードスタイルの代表作です。やったぜ。

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売れる売れないの問題は、なんつーか、アレですが、いやほんと、
心苦しいというか、巻き込んじゃって申し訳ないという気持ちでいっぱいですが
すいません、正直なとこ、誇らしい気持ちも同じくらいあります。

ここまで媚びない企画。
長いものに全然巻かれない気概。
良いと信じるものをきちんと作るという単純明快な工程。
それが形になってここにある。

憧憬をそのまま形に出来る、これほど幸福な体験はなかなか
商業の現場では味わえないもんです。

幸いにして、俺はいい友人を持って、良き仕事仲間のサポートを受け、
いい会社とめぐり合い、憧れのアーティストに直接「ヨシ!」と言わせる
仕事が出来ました。つくづく恵まれたアメコミ体験だと思ってます。

何が言いたいかというとだな、正しく好きであれ、という事ですよ。

憧れへの距離を知っているのは他人じゃなく、自分だけだぜ。

ケチ臭い判断なんかしねーで、周りからどう思われようとも、
水晶のように一点の曇りもなく願って、突っ走ってやろうじゃないですか。

と、

こんだけ偉そうに書いておいて、久々にジェフさんへのお礼メール出したら


Your message was not delivered because the destination computer
does not support electronic mail (SMTP).


などと言われ、戻ってきましたぜ。

拒否られてんじゃねーだろうな。まさか、また何かしら他人様を怒らせたとかではあるまいな。

思い当たるフシがありすぎて限定できん。

ま、チョーシこいて突っ走るのも考えもんということを、最後に付け加えておきます。
posted by サンダーロードスタイル at 00:02| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする