2016年01月11日

1月第3週 DBBB週報

先週は年またぎの作業がどうにか一段落し、やっとヒトゴコチ。
少し休んで、少し出かけて、少しのんびる。

出かけたのは千葉は佐倉市にある国立歴史民俗博物館。
アイヌの細かい絵が見られると知り、出張ってきたんですが
思った以上に壮絶な博物館で、その企画展示の前に、常設展示を回るだけで
もう限界。国立博物館の平成館だったら3周分くらいあった。
マジでもう帰してくれ、と思ったけど、出口がどんどん遠ざかるばかり。
若干の恐怖すら感じる場所でしたぜ。

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ちなみに万歩計見たらその前日は139歩なのに、その日は13000歩。
軽く日常の100倍歩かされてました。

お目当てのアイヌの絵は全然ダメで、正しい意味での資料性なし。
だろうな、と思ってたけど、俺の「松前藩憎し」の気持ちが盛り上がった程度で
文化的な発見があんまし感じられなかったのは残念でしたが、縄文系の展示は
なかなか見ごたえがありましたぜ。


あと、少し落ち着いたんでオモチャも開けたり。


スカルピーをいじってメシ食ってるわけですから、スカルピーの可能性については
そこそこ考えてやってるつもりです。
彫塑表現としても模型表現としても商業原型としても。
しかしまあ上には上がいるもんで。

常に俺が打倒レベルで強く意識してるのが2名。中澤造形と赤尾造形です。
打倒って言っちゃうくらいだから完全にこちらが負けてると思うわけで
その仕事っぷりには勉強になる部分がスゲーあるわけです。

近々の中澤仕事で凄かったのはこれ。

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造形天下一5 悟空(バンプレスト)
やっと開封したんすが、どうにもスゲーなこれは。

造形天下一造形王の納品時、原型師は帰りに集まってメシ食ったりするんですが
そこで話題になったのがこの「指」表現。

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第1関節を少し曲げてるのは何故か、という問いに明快な答えが返ってくる。
球状のエネルギーを押し出すようにテンションがかかった状態を表現したんだそうで。
それでいて、この表現は原作にないのでは?というと全部きちんと原作から
引っ張ってきてあると言う。それが見つからないのは読み込みが足りない、と。

原作を最高レベルでリスペクトしつつ、ただの立体化ではなく、造形としての表現も見事。
強烈な主張がありつつ、原作ラインを決して踏み越えない職人技。

さらに前述の条件を当たり前として、量産時の状態を見越して造形しているのが凄い。
面が大きく、間が持ちそうもない場所なんか、かなり粗目に仕上げて
その傷をきちんと造形と融合させて成立させてしまう。

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的確な皺彫刻や面取りがあって、ヤスリ傷の深さや方向をコントロールしてこそ
この背中とか出来上がるわけです。ただ汚い造形とは全く違う。
プライズの場合、成型色で行かねばならない時、こうした仕上げは実に巧み。
そんで商品に完全な状態で残ってんだもんなー。読みぴったし。

あとレイヤリングとも言える積層造形で、情報量を維持したまま彩色の
手間を減らし、複雑だけど整理された表現にまとめる能力。異常です。
今でこそ割と普通にみかける多層分割ですが、俺は以前、中澤造形の傑作、
親子かめはめ波でこれを初めて見ました。

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モチーフの理解力も正しく、造形物としての表現が凄い上に、こういうコントロールが
細部に行き届いている奇跡の商品す。真のプロフェッショナルを感じる。


先日発売された、ジャンプ流。
鳥山明の漫画製作の秘密が、作る側の視点でビシっと書かれてて非常に
興味深く読みました。まだDVD見てないけど。

中澤造形などは特に、こうした作る側の視点でビシっと解析して見れば
興味深くて面白い部分満載。天下一や造形王の作品も高度な情報を
持ってるんですが、なんつーか、そこに興味が行かず、どうでもいい
投票イベントになっちゃってるのが本当にもったいない。
イベント性はそのままでいいとしても、きちんと造形に興味がある層に
アプローチしないのは本当にもったいない。
もっとメイキング写真とか見せた方がいいと思うんだけどなーマジで。

ここでワイワイ投票する客は、5年後も興味持ってくれてんのかな。
タイバニや進撃みたいに、2秒で放り出して振り返らない客層相手に
瞬間最大風速の盛り上がりじゃなく、もっと感動を伴った興味をもつ
コアなファンも増やせるように・・・
とか考えちゃうのは、オヤジのタワゴトか。まあ俺らは強烈に感動した経験から
こういう商売を選んでる人が多いと思うんで、そのへんしょーないす。

全然どうでもいいけど、マイDB最新作はこれ。

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こういうの作る時にチラつく中澤視線の恐怖感、わかるまい。
わかってないな、と思われるのは、ホント怖い。マジでキンチョーするんだぜ。
俺なりに頑張りました、が通用しないのがDBの怖いとこです。



で、もう一つ開封したのがこれ。

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ブラッドボーン狩人(Gecco)

ガッツはタイミング的に、マイ造形説明3連発時期だったのでノーレビューでしたが
中澤造形とは別方向で問題なのがこの赤尾造形。

一転してオモチャとしては超高額商品ですが、40代が当たり前に
こういう彫像に手を出すような時代になってきてますから、出来さえよければ
全然成立する金額と思います。ま、購入に多少の決意は必要ですが。

俺はゲームをまったくやらないので、目当ては赤尾造形とそのハイレベル商品化。
これでもかっつーくらい、俺の興味とはまったく違う方向のモチーフで繰り出される
赤尾パンチですが、いやー今回も凄い。

思いっきりめくってもガッチリ造形&彩色。ぬかりなし。立派。

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赤尾造形もレイヤリングがしっかりとしてて、立体としての情報具合が実に気持ちいい。

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そんで、個人的に毎度毎度スゲーと思うのが、かなりの部分を手でやってるという点。
同じスカルピーを扱ってる身で、自分ならどう造形して納品するかと考えるに
膨大な手間をかけるか、異常なレベルでの一発勝負造形かしかない。
どっちにしてもかなりの技術が要求されるのは間違いないんだけど、
恐ろしいのは、そこに「楽しい素材表現」が炸裂しまくってるという事実。
手原型のコントロール、ここに極まれりな状態。

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表現の使い分けを楽しんでいるのが伝わってくる。
これは中澤さんも、手を作るの一番楽しいと言ってましたが、そういう
楽しんでいる部分はやっぱり出るんでしょうね。

仕上げて磨いてしまうのであれば、極端な話、スカルピーを使う意味はあまり
ないわけです。スカルピーは粘土であり、粘土の魅力は彫りっぱなしにこそある。
それをあの手この手で彫塑、彫刻、スタンピングやチッピングと料理しながら、
フォルムが狂わないというこの事実。いや、どうなってんだ。マジで取調モンです。

近くで見るとガタガタの部分とか全然あるのに、ちょっと離れてみると
全くそういう破綻がなく、ビシっとまとまって見える。むしろそのガタガタは
スケールモデルに必要な揺らぎに近く、全体像を引き立てる部分でしかない。
これは原型師の「目」の正しさだと思います。そこがまた異常にハイレベル。

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次回のウルトラマンも見せてもらったんすが、やっぱ手原型なんすよね。
でもそう思わせないギリギリのラインを維持出来る正しい「目」があるんだよなー。


技術的に凄いけど俺が美少女フィギュアに興味が出ない理由の多くは
ビカビカに磨いたマネキンみたいなのが多いからです。肉感的な表現もあるけど稀。
人が手でちゃんと悩んで作ってる、って感じが好き。それを強烈に意識させられるのが赤尾造形。
なんつーのかな、人の存在を感じる。


で、ここが矛盾するんすが、俺は浮世絵だと肉筆画は好きじゃないんすよ。
大量生産されたマスプロ品である「刷り絵」にしか興味が出ない。

正直なところ、ワンオフってのは凄くて当たり前。
後先考えずに作れるなら、まあそりゃ大抵は凄くなるだろ、と感じる場合がほとんど。

しかし、ロマンと面白さを感じるのは仕事として発注されるという
がんじがらめな状態で実力を発揮し、それをさらに量産する技術にこそ、なわけです。

そういう意味でGeccoの、大量生産での劣化を前提にしない挑戦もまた
スゲーす。今回も、エッジの効いた製品化、ヘタらない工夫、彩色の再現度と手数含め
他社と比較すると頭2個抜けてるなと思います。



ただ

今回Gecco商品では初めてでしたが、ブリスターの中での色ハゲが。

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他の部分を見る限り、ビニールはかなり慎重に入ってたようですが

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前面の尖った部分のビニールがズレてた個体らしく、そんな状態に。

流石にこれくらいならペペっと塗れますが、高額商品の良さは、
到着=そのまま飾って、即最高!なので、俺じゃない人にこの商品が
当たった場合を考えると、非常に残念。

ちなみに以前、コブラのレリーフを作った時は、楽しみにしてた商品の首が
ポッキリ折れたのが届き、悲しみのうちにそのまま封をし、その後開いておりません。
人の心もまた折れやすい。


それ以外の部分は文句ナシどころか極上だったので、
スカルピーで何か作ろうという人は、可能性はまずここまであるぞ、という意味で
中澤造形と赤尾造形を手元に1個くらいは置いておいたほうがいいかもですぜ。


あとは全然関係ないけど、ずっと気になってたオモチャを先日マメギョセールで見つけました。

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DCアイコンのデッドマン。

デイブ・コルテスのクドめの造形が今回はいいサジ加減っぽいなと思って。

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ま、なるほどな、くらいでした。でもちょっとバットマン欲しいかな。



さて、そんな事をツベコベぬかすテメーは猿作ってんのかっつー話ですが

一応頑張っております。

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年賀状をくださった皆様、もうしわ毛ーございません。

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いましばらくお待ちを。
posted by サンダーロードスタイル at 00:04| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする