2016年09月19日

9月第4週 カーテン週報 

まず、先週大騒ぎした、椅子問題。
若干改善されましたが、その功労者は無印良品の低反発シート。

以前近所にニトリがあって、低反発ってどんななの?と思って選んだものの
さすがお値段以下ニトリ。悪気はなく安かろう悪かろうでまったく無意味。
・・・だったので低反発?無駄だろと思ってたんですが、無印のを教えてもらって
買いに行ったら、全然触り心地が違う。値段も違う。
これならいけるかもと使ってみたら・・・いける!
2晩使ったけど全然いける。

問題はサイズが小さいのでいちいち位置調整が必要ですが
能力はまったく他の低反発とは違いますね。というかこれが
普通の低反発なのかな。よくわからんすがまずはこれで
しばらく作業してみようと思ってます。
尻、気にならないで作業できるってのは改めてすごく重要。


そして次にワンステップさんより、シガーマンのテストショットが
上がってきましてパッケのシールやら取説やらをやっております。
俺が販売したのより、若干豪華になるかもです。箱入りになるんで。
こちらは後程改めて告知します。


さて、ここから

肉のカーテン製作記。

えー、今回は書かなくていいかなと思ったんですが、先日漫勉を見て
やっぱり創作現場を覗けるのは俺にとってすごく面白いから、
情報出せる立場にいるならちょっと出しておくか、と心変わりしましたので
軽く書きます。途中経過写真はほとんどないので、文字ばっかですが。



今回の肉のカーテン。造形的には今までと一番違うのは
キャラではなく「技」を表現するという事になりますね。
これ同じようで全然違います。ポーズの立体化ではなく、技の立体化。

技となると「決め絵」だけでなく、技が始まる前や、技が決まる瞬間、
決まった後まで含めて技のイメージはできてます。
それを表現できなかったら、ただのポーズ人形になっちゃうわけです。

ある意味「動き」を立体化するってことなのかもですが
動きってのがいわゆる「躍動感」かっつーと、それまたちょっと違う。
ジャンプしてピョーン、派手ー!ってんじゃ、なんつーか、ねえ。
そういう意味での「技」は前後の流れを感じさせるもので
ポーズというよりはシーンの立体化に近いかもしれません。


肉のカーテンはあまりに有名な、それでいてシンプル極まりなく、
誰でも作れそうなポーズでもあります。どころか、たぶん誰でも出来る。

設定上でも、修練が必要な高度な技ではなく、真弓がこうだと見せたものを、
一目見てこうか!と(血族的本能のサポートがあったとしても)
真似できた単純なもの。小学生も真似できるものなわけです。

しかし、

例えば素人がファイティングポーズとったところで、一目見て
これはダメだとすぐわかるのと同じように、同じ格好だとしても
小学生のポーズじゃダメなわけです。
本物の超人のポーズ(技)と小学生のポーズ(真似)の違いを
一見して感じさせられるようなのが、理想。

と頭ではわかってますけどね、動かせるパートはわずかしかない。
曲げた前腕ガードと背筋、立ち方・・・くらい?

簡単だけど、簡単ゆえに説得力を持たすのは難しい。

しかしそれゆえに挑み甲斐もある。
ということで、シンプル技相手のゴングはなったわけです。


まず第1のハードルは初期ゆで絵の落とし込みです。
これが出来てないと、技もくそもない。
しかし毎度のことながら難しいわけです。

例えば肩。原画では丸く印象的。ですけど、リアルを追及すると
その形状にはならない。

リアルに寄せるのは簡単です。
正しい人体にそのポーズをとらせればいいし、人体をトレスすればいい。

でもそれではキン肉マンにはならないんすね。ただの人体が出来上がる。
なので正しい人体を作ることはハッキリ言えば不正解です。短絡的。
俺がCCPの造形に興味が出なかった理由の一つがそこにあります。
美しいしカッコいいけど、キン肉マンじゃねえだろ、マンガの立体化じゃねえだろっつー。

でもリアルさを真っ向からキン肉フィギュアに落とし込んだのも
CCPの英断であり、そうして蓄積したものは、まさしく功績であり
敬意を払うに足る要素でもあります。
こうだ!という解釈を真正面からたたきつけるという方法は
本来商品に不可欠な要素であり、本当なら形はできて当たり前なので
「その独自の解釈、姿勢にこそ金を払う価値がある」ってもんです。

だから買った人が今回の肉のカーテン買っても「ほらCCPすげーだろ」と
人に自慢できるような仕上がりじゃなきゃ、これまた失敗。


というわけで、頭部のバランスや表情の情報。
CCPが積み上げたものの上に乗せつつ、積み上げたものを破壊する。

そうしてフォルムが完成したら、いざポーズをつけて技に昇華させます。

169191.JPG


169192.JPG


169193.JPG

というわけで、だいたいのポーズをつけたところから
悩む時間が始まります。

先ほど書いた本物の超人のポーズ(技)と小学生のポーズ(真似)の違いを
一見して感じさせられるような表現のハードルを、いかにして超えるか。
いかにして単純なポーズに説得力を持たせるかのハードル。高い・・・。


で、


そこを超えるべく出した結論というか方法論は

「俺が肉のカーテンを攻略する」


この辺は、稲坂君に説明した時も一瞬で理解されなかったんすが
要は、3日間攻撃を耐えられたこのポーズ。

169194.JPG

(スグルが脇腹を即ドボっとやられたのはご愛敬として)基本的にまず
攻略不可能な鉄壁の防御でなければ肉のカーテンではない。

ので、ポーズつけた原型に対し、ヘラでひたすらペチペチと
いろんな角度から攻撃を加えながらスキを探し続けるという造形方法を
編み出しました。

まさかの人間VS粘土。直撃格闘造形により正解を模索したわけです。

そうすると、少し顎を引く、少し脇を締める、でも敵の動きを
見ないわけにはいかないからガードは閉じすぎない、
でも最初の絵はヒジを締めてるな。てことは可動する腕で
カバーできるのはどこまで?前からの攻撃の勢いをどういうスタンスで止め、
どこで下半身に力を入れる?横からの揺れには、半歩開かないと。
腹筋にこう力を入れないと、前攻撃は耐えられないけど
そうすると背中はこう丸くなる。でもただ丸めただけじゃなく
力が入ってないといかん。肩甲骨は前に出るけど、隙間が出来たら
弱点になるから筋肉を固めたまま前に動かすと、アレこの部分も力が入るな

などと見えてくるので、粘土相手にひたすらヘラで攻撃を加え、
ガードポジションや足の開きを説得力あるところまで調整したわけです。

169195.JPG

しかし理論武装は頭デッカチになって本質を見失う事も多い。
基本、どんだけいじっても原画に立ち返って、そのイメージを
補完する形で進める。
イメージとしては真弓に教わったばかりのスグルそのもので
こうか!こうか?あれこうかな?いやこうかーっ!とひたすら。

おかげで最終的にスキは埋まって、俺には攻略できない
鉄壁のガード感がやっと出た気が。

169196.jpg

169197.jpg



さらにこっから造形説明というより個人的な感想ですが

作ってる最中、これはただのポーズフィギュアじゃねえ
キン肉マンの魂が宿るものにならなきゃいけないと考えてまして。
これが誰かの枕元にあれば不幸や逆境も吹き飛ばす
勇気を思い出させてくれるあの少年漫画の熱意や、
奇跡の逆転ファイターと信じさせる可能性が宿るものに
ならなきゃいけない、絶対!と真剣に考えてました。

他の超人の場合、ここまで考える必要はないんですが
やっぱり主人公ですからね。造形側としては一歩たりとも
退くわけにはいかんと。

俺らオモチャ業界は、世の中に不可欠なわけではない職業であります。
環境汚して、資源消費して、他人様に迷惑をかけて仕事してるなと
思う事は多々あります。
でも人間が生きていく場合、娯楽は不可欠でもあるわけです。
心の救いや癒しであったり、勇気や元気の源であったり。
過酷な現実に立ち向かう、ちょっとした燃料になるわけです。

他人様に迷惑かけてる分、わざわざやる限りは、よくやった!と
思われたい。
無責任な消費に加担するんじゃなく、やる意味があった!と
思われる仕事を目指すべきだし、キャラを預かる限りは
作者の思いを引き継げなければスタート位置に立つ資格もない。

何度も言ってますが、数ある少年漫画の中で俺が次の世代に
読ませたい、読ませるべき内容を備えた漫画の一つが
キン肉マンだと思ってます。現行の新章を読めばその意味は
言わずもがなでしょう。

そう思わせる作品の主人公の不屈さと闘志を立体にするわけですから
そりゃ力も入るっつー話です。

結果、170円握りしめて本屋に走った少年の時の俺の目を
輝かせるに足る、10歳児が、すげえ!カッコいい!って
思ってくれるような人形が出来たんじゃねーかな、と思います。

たぶん肉のカーテンを作るのは一生に一度と思いますが
この真剣さと本気が、俺がキン肉マンから学んだ物でもあり
ゆでたまご先生への恩返しとも思って、マジメにやりましたぜ。
大人はちょっと元気のない子供に、このカーテンスグルを
プレゼントしてやって欲しいす。こんな顔だけど、ここから
耐えて逆転するんだぜ、なんて教えてあげてくんねーかな。
歯を食いしばって耐えているこの時は、防御だけじゃなく
攻撃でもあるんだぜ、という事を教えてあげてくんねーかなと。


つーわけで入れ込みの甲斐あってか、俺の手ごたえとしては
誰でも出来るポーズフィギュアじゃなく、ちゃんとした
肉のカーテンの立体化として成立したんじゃないかと思います。
ケチ臭い小細工造形ではなく、俺が望む「備えた造形」と「伝える造形」に
どうにか届いたんではないかなー、と。

今月中の予約らしいすから、ぜひ買ってねコノヤロウ。
posted by サンダーロードスタイル at 00:17| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする