2019年11月18日

11月第3週 キンイチ週報

何度も言うようですが食べ物のことでクチャクチャ言う野郎は全然
死んだ方がいいす。普通に「食べられる」という幸福の意味を理解できない
ノー感謝人間は寂しく死んでいいと個人的には思ってます。


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なんだって食えればありがたいし、そもそも咀嚼して嚥下して栄養に変えられると
いう健康は奇跡とも言える素晴らしい日常。決して当たり前じゃない。
まったくもってありがたい限りで俺なんか飲み込むたびに感謝します。

しかし悲しいかな現実には食べ物に上下があり、とてもじゃないけど
感謝とは程遠いものもある。利益の為に悪意をもって改竄された食品群。
これは世の中が資本主義社会である限り当然発生する「ズル」。
ですがまーしょーがねーっちゃしょうがねー話でもあります。
長期保存、大量流通を前提に行った工夫を一概には責められないし
それによって受ける恩恵の巨大さたるや計り知れないものもあるわけだし。

だから食品は清濁併せ呑みつつ、出来る限りその中から
良い(高価ではなく良心的)と思われるものをチョイスして
真面目な生産者を応援しつつ、こちらの健康も守りつつ、
(時代に媚びたテンション上がるジャンクも食いつつ)
分相応の狂信的ではない健康的な食生活を考えていきたいわけです。


つーわけで今日は真面目に作ってるチーズを買いに出かけてきました。


建築を目当てに行った、ウチの近所にある学校の系列の
乳製品工場(?)の秋の収穫祭みたいのがあるってーので、そこに。



ま、そこのチーズが旨いって話はともかく、考えさせられるのは
チーズをはじめとする人類史における「発酵」文化の発達です。

いやもうこれ、すごい。

基本的に俺は食品関係は門外漢ですから間違ってるかもしれないすが

いつ人類が乳製品を摂取し始めたのかは謎です。
ヤギや牛の乳をどの段階で「飲める」と判断したのかで言えば
おそらく猿の頃からでしょう。殺して出てくる美味しい部位としての
血や乳としての認識が最初と考えて間違いありますまい。

ただそれを捕獲、飼育、乳のみ採取ということだとちょっと
後になるはずです。それでも1万年前には余裕で行われてたでしょうね。

その乳を運搬する場合、牛やヤギの胃などを袋に加工して運搬した。
その際、胃の内部にある酵素が反応して変化することに気付いたわけです。
カッテージチーズみたいなのとホエーつまり乳清に分離変化する。

ここまではわかる。

で、カッテージチーズみたいなのを固めて干す。
初期の保存チーズは燻製されたもののようだったそう。
凝固、塩蔵、乾燥、熟成。

ここまでもわかる。

問題は次のステップ。


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カビ。

菌の植え付けによる変化です。

これはわからない。理解不能。

菌の植え付けによっていわゆる発酵に踏み込むわけですが
そもそも発酵と腐敗の差は微妙。
というか現代においても定義出来てません。

人に都合の良いものが発酵であり、そうでなきゃ腐敗。
ってことは人体で試しまくったわけです。食って大丈夫かどうか。


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だからカビが生えたチーズ食ったヤツはスゲーと思います。

よく納豆最初に食ったヤツすごいとか言いますが、
いい納豆は藁の匂いがして普通に美味そうで、試しに食うのに
まったく躊躇しないレベル。でもチーズのカビは、微妙。
ハッキリ言って便所を連想しないわけがない。
普通にカビ臭い。罰ゲームか酔っぱらってたとも考えられますが、
まーよくカビたもんを食ったもんだと感心します。


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以降、チーズは選択された菌を植えつけ人為的な
発酵熟成が加速するわけです。


でもそもそも菌を植えつけるといっても、菌にもいろいろ状態があり
菌が糸状になってるのがカビ。それが子実体を備えたものがキノコ。
キノコってのは菌が胞子を撒き散らかす為に生み出した菌糸の構造体。
基本、キノコ、怖い。菌、怖い。


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というなんかやっぱり得体の知れない菌=カビを植えつけ発酵を促すのは
またそれはそれで勇気がいったはず。

しかもカビを場合によっては「麹」なんて呼ぶ。

麹と呼ばれる善玉カビはあらゆる日本食の基本です。

その最も恐ろしい使用例がこれ


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キノコキャラもいますがカツオブシの方を気にしてください。



煮て成型して干した魚肉に、カビをまぶす。


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このカビは水分を好み、カツオブシの内部に菌糸をのばし焙乾では
奪えなかった中の水分を吸い除去。乾燥の度合いを格段に上げます。

さらにその菌糸はカツオの中性脂肪を分解し脂肪含有量を低める。
結果透明の澄んだ出汁がとれる。加えてタンパク質を分解するとき、
旨味成分であるイノシン酸やビタミン類を生成する。もう奇跡。

というカビを普通のカツオブシ製作時には、5回くらいこのカビつけが繰り返され
最終的にはカビが食うものがなくなって、キンキンのカツオブシが完成する、と。

みずみずしい魚の肉を、モース硬度で3くらい(骨とか琥珀とか生物硬度の上の方)まで
押し上げるんですからカビの能力と利用する人間の悪知恵たるや恐ろしい限りです。



でもまだカツオブシは菌感が少ないからいいですよ。

チーズとなると、もろにカビのまま。

青いし。


本能の半分がこれは危ない、と告げる匂いもする。


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子供の頃、バーチャンたちと山にキノコ狩に行った時
ちょっとオシッコしてくる、とバーチャンが茂みの中に入って行き
その方向から別のバーチャンがビニール袋いっぱいのナメコを手に
満面の笑顔で現れた時、可愛い俺は戦慄しました。


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どう考えてもバーチャンがションベンかけたビチョビチョのキノコを
袋に詰めて現れたようにしか見えず、マジで怖かった覚えがあります。


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いまだにババションとナメコのイメージを切り離せない。トラウマ。

おそらく俺のようにチマチマ考えて小知恵を巡らすようなヤツと違い
そのションベンキノコをうめえうめえと食っちゃう奴がいるように

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カビが生えたチーズもうめえうめえと食っちゃう奴がいたわけです。
たぶん。


一見、デリカシーがなく協調性もなく社会性もないようなヤツでも
人類というくくりで見た場合、危険な菌やカビを攻略するのに
そういう神経の図太いヤツがものすごく便利だったという事実は
否定できない。人類の社会的構造の中に存在する鉄砲玉。
エクスペンダブルズ。生物種としてこういう手合いが生まれるのが
必要悪なんだとしたら、というか必要なんですが、とにかくすごい構造です。


チーズ旨いなあ、でもカビ臭いから危ないよなあ。
試しに食ってみてもいいんだけど、前にブツブツ出たんだよなあ


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食ったら死なないって保障もねえしなあ


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でもまあ


みんなで食っちゃえば大丈夫かあ


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とか思いながら、あまたの犠牲の上に成立した発酵文化。

今日も安全に美味いチーズを食わせてもらって大感謝っつー話。
posted by サンダーロードスタイル at 00:01| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする